Home > 不登校、ひきこもり「受容までの道のり」 > 脳グセを上書きする脳作業
脳グセを上書きする脳作業

子どもを心の底から信じる

ST気質の子どもは、自分の興味、関心のあることに集中しやすいので、幼少期からお母さんに口うるさくやることを指図されながら育っている子が多いです。
お母さんは難しい育児に取り組んでいて、なかなか思うようにことが進まないため、子どもが成長して思春期になると一層チェックが厳しくなりがち。
子どもに対するお母さんの脳グセは「どうせできない」とか「わかってない」「言わなきゃやらない」と否定的なものばかりです。
せっかくやったとしても「やっぱりこの程度ね」と低い評価を付けると思います。

しかし、子どもの方は親の思っていることはわかっていますし、お母さんが近づいてきただけで言われる言葉もわかっているのです。
ただ思春期に入ったST気質の子は、「言われたらやる」という図式は当てはまらなくなっています。
自分のタイミングが大事ですし、自ら気づいてやるような心身のエネルギーはもう残っていない子が多いのです。

「何度も言われたらやる」ならまだ元気がある方で、エネルギーが不足すると徐々に「わかっているけどできない」「やる気力がない」となっていきます。
決して「わからない」「知らない」わけではありません。
年齢的には自ら察してやることを周囲から期待されますが、「知っている」ことと「やること」が脳みそでつながらないST気質の特徴が目立ち始めます。

ではこうした現象に対して、親の方は過干渉なこれまでのやり方から脱するために、どう脳グセを上書きしたらいいのでしょうか。

それは、「私がこれまで一生懸命育てて、毎日毎日あれだけ言い聞かせてきたんだから、私が伝えたいことは子どもはもうすでに何でも知っている。」と、心の底から信じることです。
親の価値観、ものの考え方、どんなことを大事にしているか、どんなことを好み、嫌うか、子どもはもう何でも知っているのです。
その上で子どもの気質を理解すれば、子どもが知っているけどできないことを無理にやらせる必要がなくなります。
子どもが「今はできない」、「やる能力がない」ことに関しては、自分が気持ち良く暮らすために親自身がやればいいだけのこと。
子どもはいつか必要な時がきたら、自分なりに手段を考えてできるようになると信じることです。

しかし、(私が教えなくちゃこの子は何にもできない。)という考えから脱するのは実に難しいことで、この「子どもを心の底から信じること」に真剣に取り組むと、親は一日中子どものやること、やらないことに気を取られているか実感できます。
それほど子どもをチェックしているわけで、これが「見守る」であり、「過干渉」なのです。

子どもを信じるためには、1日に何度も何度も自分の傲慢さを意識することになるでしょう。
(私は何と比べているのかしら?子どもが生きているだけありがたいじゃないの。)
と内観することになるのです。
子どもがゲーム三昧でも、朝になってから寝るような生活でも、何日もお風呂に入れなくても
(この子は何でも知っている、だって私が大事に一生懸命育ててきたんだもの。)
と子どもを信じること。

思春期で爆発した子どもは、物心ついてから親に信用された感覚を知らないので、変わり始めた親を本当に信じていいのか、それはそれは慎重です。
親もいろいろ試されます。
だからとっても難しいのです。

しかし、子どもは親から信じてもらえているという実感を得て、ようやく自己肯定感、自尊感情が出てくるのです。
そして、子どもを信じることは、母親が自分自身の自己肯定感を高めることにもつながります。
子どもを動かすために向けていたエネルギーが自分に向くため、いかに自分が一生懸命かがわかるからです。

自分以外は他者の感覚

人と比べないで自分の信念を持てれば、他人の考え方に干渉しなくなります。
また人を変えようとする傲慢さに気づくと、自分の価値観と他人の価値観に差があることに対して違和感を感じなくなるので、「自分は自分でOK、他人は他人でOK」と思えるようになります。
すると他人の価値観に優劣をつけなくなりますから、立場の違いはあっても、人としては対等であり平等という意識が生まれ、相手を尊重できるようになります。
人を見下すような上から目線の態度も取らなくなってきます。
「自分は自分」と責任を持つようになり、少しのことでは傷つかない強い心も持てます。

これら「他人」のことは、すべて「わが子」にも当てはまることで、過干渉排除のためには必要な感覚となってきます。
不登校の勉強を始めると、「親子であっても別人格なのだから、親の価値観を押し付けてはいけない」とよく言われますが、それを真の意味で理解するには、ここまで説明してきたような内観が必要になるのだと思います。

自分以外の人はみな別人格である。
それぞれに個性的な感じ方、考え方があって、どれも間違っているのではなく、自分とは違うだけだ。
このように、お互いの価値観をどちらも尊重できると、「I'm OK. You're OK.」と肯定的な脳グセを手に入れることができます。

これができると、苦手な人はいたとしても嫌いな人がいなくなるので、人間関係の悩みが激減します。
自分がワンランクアップしたような感覚を味わえますよ。

すべてのベースにある「心は鏡の法則」

子どものことは心の底から信じることも、たとえわが子であっても自分以外は他者である感覚を身につけることも、自分の頭の中だけでする「脳作業」です。
過干渉を排除するためには必要なことですが、「人と比べない、傲慢さと決別する、怖れを手放す」の内観の段階から、ずっと自分の内部でする作業となります。

特に子どもに対して、これまでの育て方の謝罪と、決意表明ができていない場合は、実際に子どもに対して何かアクションを起こしたかというと、何もしていないと思います。
しかし、親の脳内変化を子どもはしっかりと感じ取っています。
これは、人には「心は鏡の法則」が働くからなんだそうです。

「心は鏡の法則」とは、自分の思いはすべて相手に映って、同じ感情を返されるという法則です。
自分が好意を寄せている人は好意的に接してくれるし、実は苦手だと感じている相手には、先方からも一歩引いた対応をされる。
人は、自分が思ったように思われる、という脳の反応、仕組みなのだそうです。

この感覚は、例えば店員さんとお客さんのような一時的な関係だとわかりやすいと思いますが、継続する関係だと鈍ってしまうのだとか。
そのため身近な人、特に肉親に対しては、(自分がどう思っているかなどわかるはずがない)、と決めつけていますが、実はものの見事に映し返しているんだそうです。
親が子どもを信じずに上から目線で言いつけているなら、子どもも親を信じていませんし、上から目線で反発します。

この負のスパイラルをプラスに転じるには、親の方が先に子どものことを信じること。
すると、親が一生懸命「脳作業」しているのを子どもが察知して、子どもも見事に「脳作業」を始めます。

次のステップは、親が実践すること(やめることも含めて)です。

 

「親が子にすること」のページへ
 
お問い合わせ
ページのTOPへ戻る